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夕暮れの朱光に照らされた本塔の最上階、トリステイン魔法学院の学院室。そこに向かうコルベールの足取りは重かった。
学院長への報告を考えると、徐々に足取りも重くなっていき、永遠に到着しなければいいのにと埒もないことに頭を巡らせる。
いくら牛歩で歩いても、溜息をつきながら歩いても、無情にも到着してしまう。
重厚なローズウッドの扉の前で、ノックの音がコルベールの耳に突きささる。
自分の手が打ち鳴らしたノッカーの音のはずだったが、耳元で爆発があったかのごとく鼓膜を殴打する。
そう、コルベールは深刻に悩んでいた。

「失礼します、学院長、オールド・オスマン。相談があって参りました」

トリステイン魔法学院、学院長オールド・オスマン。その思慮にあふれた風貌、数々の功績、そして齢数百とも噂される程の賢者。
固い声で扉を開けたコルベールが見た学院長は、重厚な机に魔法書を広げて悠然とパイプをふかせつつ、大いなる英知に思考を
巡らせる……姿ではなく。

「ギブ!ギブ!ギブ! ミス・ロングビル! 首が、首がっ!!」

秘書のミス・ロングビルに首を絞められて、必死にタップしている。そんな姿だった。

「今日という今日は、いい加減に・し・て・く・だ・さ・い!」
「いや、ミス・ロングビル! 客じゃ、客!」

豊かな緑の髪を靡かせて、引き攣った笑顔のまま、ぎりぎりとオールド・オスマンの首を絞めていたミス・ロングビルだったが、
戸口で両手をついて脱力しているコルベールを見て、はっとした表情を浮かべる。
いそいそと服の乱れを正して取り繕う様な笑顔を見せて、じゃあ、私はこの辺で。と言いつつ、先ほどの痴態を露とも見せずに
そそくさと退出していった。

「いい所に来てくれた、今日は君が救世主に見えるぞ」
「オールド・オスマン、今日は何をしたのですか?」

もう少しであの世に逝くところじゃった。と首を撫でる学院長に、よろよろと起き上がりながら、コルベールが尋ねる。

「いやあ、今日はそこのモートソグニルがミスをしよってだな」

机の隅にちょこんと丸まっていた、ハツカネズミがチュウチュウと激しく鳴いた。
どうも抗議しているようだ。

「わしは、今日の生地は何じゃろ? と、独り言を言ったのじゃが……」
「使い魔が勝手にミス・ロングビルの下着を触ったと?」
「そうじゃ」
「学院長、知りませんよ? 王室に報告されますよ」

この子供のような悪戯心さえなければ、名実ともに尊敬できるメイジなのに。と脳裏に浮かんだ言葉を溜息と共に吐き出した。

「で、今日は何の話じゃ?」
「いえ、実は……」

何の気配を感じたのか、ふとオールド・オスマンが底光りのする鋭い視線を向ける。
こういった表情ができる所が、その底しれぬ奥深さが、そしてその勘の鋭さが、国の重要教育機関の長を務める彼の真髄でもあった。


―― BLOOD+ゼロ 3章――


言い知れぬ学院長のプレッシャーがコルベールを圧迫していたが、一通りの説明と持論を提示すると、その雰囲気は霧散し、
いつものような漂漂とした老人の姿が戻ってきた。
報告者の気概というか、重要度を諮っているのかも知れないが、やられた方はたまったものじゃないとコルベールは
胸に溜まった息を吐く。背筋に流れる冷汗が冷えて不必要に体を冷やしていく。
こんな学院長を見るのは、記憶にもほとんどなかった。
夕日で緋に染まった白髭を撫でながら、オールド・オスマンは目を閉じていた。

「だいたいのことは分かったぞ。
君の分析では、ヴァリエール嬢の召喚した使い魔は、未だ知れぬ東の世界の住人で、かつ不穏な気配を持っていると」
「それだけではありませんぞ。ミス・ヴァリエールのコントラクトサーヴァントの施術中に一瞬で10メイルも瞬間移動しました。
呪文すら唱えずに!! 先住魔法としか考えられません」
「なるほどのぅ。で、その使い魔は無事にヴァリエール嬢と契約したんじゃろ? なーにをそんなに息まいとるんじゃ?」

口角を飛ばしながら力説するコルベールに対して、学院長はとぼけた表情を崩さない。

「ですから、彼は修羅場をくぐってきた軍人か傭兵と思われます。そのような人物が先住魔法を使うとなれば、
その危険性は図り知れません」
「だから、な~にを言っておるんじゃ? 君は。ちょっと慌て過ぎで、論点をすっとばすのが君の悪いところじゃ」
「ですから!!
我々の知らない勢力が、先住魔法と言う得体のしれない力、それも軍人が使っているところから、
魔法による軍事力を強化しているやもしれません。そんな国が我々のトリステインに攻め入って来たら、苦戦は避けられません。
ですので、速やかにこの事実を王室へ報告して、対策を練っておくべきです。でなければ何の罪もない民間人に被害が!!」

オールド・オスマンは鼻に突っ込んだ小指をまじまじと見つめたあと、彼の使い魔であるハツカネズミにその指を見せていた。
使い魔が、その指をちょっと見て嫌がって逃げ出すのを面白がっていたが、
バシンという音と共に、机に叩きつけられたコルベールの両手を迷惑そうに見つめた。

「痛くないかね?」
「少し。いや、学院長、こんな」
「わかっとるわかっとる、言いたいことは判るんじゃが、曖昧な所が多すぎるの。君自身わかっておると思うのじゃが?」
「……おっしゃるとおりです」

コルベールはテーブルを叩いて痛めた手をさすりながら、オールド・オスマンの痛い指摘に押し黙らざるを得なかった。
妙な義務感やら、責任感に駆られて老オスマンの元を訪ねたが、そもそもなんでこんな考えに至ったか、思い返していた。
思い当たるのは、ミス・ヴァリエールの使い魔となったハジという名の青年の目だった。
幾多の絶望と死を見てきたような、深く悲しい目。まるで、死人のような目をしていた。
それは在りし日の自分に重なる。
嫌な思考に陥りかけたが、学院長の言葉で現実に引き戻された。
すべて、見透かされているような居心地の悪さを感じ、口調も徐々に弱くなっていった。

「まず、彼が東方の住人だという確証がないじゃろ?」
「とは言っても、我々では子供でも知っている知識がないということは、そうとしか考えられないと思いますが」
「果たしてそうかな?」
「え?」
「まあ、いいわい、次に、その使い魔が軍人である証拠は?」

コルベールはオールド・オスマンが口の中でつぶやいた言葉が聞き取れずに聞き返したが、オスマンは何事もなかったように、
机に肘をついて、顎を乗せた。
机の片隅に置いてあるレターセットを引き寄せて、おもむろに羽ペンをインクに付けた。

「……それは、私の勘です。ただ、数え切れないほどの戦いを潜り抜けてきたもの特有の目をしています」
「君の経験から来る勘かね? それと、本当に使ったのは先住魔法なんじゃね?」
「……それは」
「ふむ、となると、もう少し様子を見るしかないの」
「オールド・オスマン! 王室に御報告はしないのですか? あまりにも危険です」

オールド・オスマンが退屈そうに、仕損じた紙に落書きをしているのを横目に見ながら、コルベールはにじり寄った。

「そうじゃのう……ま、今はやめておこう」
「オールド・オスマン!」

オールド・オスマンは、ぐいっと更に近寄ったコルベールの顔を押し返した。

「君の言いたいことは分かるんじゃが、今の王室に不確定な情報で余計な緊張をもたらしたくないんじゃよ。
今は奴等はパンパンに腫れあがった水袋のようになっておるからのぅ。
そんな所に”先住魔法の使える軍人”なんて言葉を出してみろ。何が起きるかわからん、いや、分かり安すぎるな。」
「はぁ……」
「それに、まだ確定しておるわけではないのじゃろ?」
「……そうですね」
「まあ、使い魔の契約をしているということでもあるし、しばらくはコ、なんじゃったか?」
「コルベールです」
「おお、そうじゃ、コルベール君、君が様子を探ってくれまいか? 当然ながら他言は無用での」
「はぁ……、わかりました」
「じゃあ、あとはよろしく頼むぞょ」

コルベールは、オールド・オスマンに無言の退出を命じられ、とぼとぼと部屋を出た。
扉を閉めてから、ふと厄介事を押しつけられたような気がして、来た時の十倍ほど疲れが増したように感じる。

「何事もなければいいんだが……」

溜息をひとつついてから、とぼとぼと自分の研究室に向けて歩き出した。


肩を落としてコルベールが出て行き、扉がしまったのを眼の隅で確認してから、オールド・オスマンの表情が変わった。

「ほとんど魔法が使えない生徒が、一発で呼び出した人間の使い魔か。
人間も生き物と言えばそうじゃから、サモン・サーヴァントで呼び出してもかまわないと強弁できんこともないんじゃが、
それに見たこともない風体で見たこともない力を使う。か。
イレギュラーも一つであれば偶然じゃが、複数重なると意図を感じるのぅ」

厳しい表情をしつつ、彼の使い魔を呼ぶ。その雰囲気を敏感に察したのか、使い魔の雰囲気も鋭いものが感じられる。

「さて、モートソグニル。 出番じゃ。」


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中央の本塔にあるトリステイン魔法学院の食堂で、ルイズは遅めの食事をとっていた。
本来であれば一斉に食事をとるところだが、彼女の使い魔となったハジの対応に追われ、
気がついたら食事時間のかなり最後の方だった。
周りを見渡すと閑散とした中にちらりほらりと、同じ様に使い魔に夢中になって食べ遅れた二年生が見受けられる。
一、三年はすでに誰もいない。
ルイズは友人と呼べる人間が、まともにいない為、会話もなくただ食事を詰め込んでいた。
通りがかった、カチューシャで髪を纏め、そばかすの残るメイドにパンとチーズ、ワインを包むように命じた。
ハジの分である。

しばらくお待ちくださいませ。という言葉と共に厨房に向かった後姿を意味もなく見つめながら、
先ほどのことを思い出し、徐々に顔が赤くなっていく。


春の使い魔召喚の儀式が終わって、ルイズは念願の使い魔を得て、無事に二年に進級することができた。
が、部屋に帰ってきて、その使い魔と向き合って、どう付き合おうか悩んでしまっていた。

ルイズの夢では、ドラゴンを召喚して、あまりにも巨大なので塔の外に住まわせ、朝になると窓から、おはようと声をかけ、
授業が終わったら、みんなの羨望を一身に受けつつ、その背に乗って空を飛ぶ。とか
グリフォンを召喚して、やはり巨大なので以下略とか。
失敗したとしても、鷲とか狼とかを呼び出して、お前の寝場所はここよ。とか。

そういった、ほのぼのとしつつも自分が飼い主であるという、アドバンテージを持った使い魔ライフを想像していた。

それが、召喚してみれば、どこの貴族の御曹司?といった風情の黒眼黒髪の白皙の貴公子然とした二十台の若者の使い魔。
それも強制的に、ではなく、なんとなくお願いする形になってしまって、マスターとしての威厳もへったくれもない状態。
そこの床で寝ろなんて口が裂けても言えず、そう言えば、寮の原則だったら部屋に入れない大型以外は室内飼いなので、
目の前の青年と同居? え? うそっ!?
なんて思考が巡っていた。

「あ、あ、あ、ああの!」
「はい」
「ちょちょっとそこの椅子に座って、まま、待って、待ってなさい!」

背中に大きな金属製の箱を背負った青年が、特段興味もなさそうに周りを見ているのを放り出して、寮の舎監に相談に行った。
原則は曲げれません。と、どう足掻こうとも、妥協してくれなかった舎監の杓子定規な対応に疲れ果て、
トボトボと引き返してきたルイズは、自室の扉の前で、深呼吸をした。

「ハジは使い魔で私が主人ハジは使い魔で私が主人ハジは使い魔で私が主人。よしっ!」

自分に自己暗示をかけつつ、気合いを入れてドアを開ける。

そこは赤い世界だった。ベッドも机も壁も、すべてが朱に染まっていた。

「ただいま」

ハジは窓のそばで静かに佇み、紅に輝く外を見ていた。

「なにしてるの?」

思わず、普通に問いかけたルイズに、ハジは振り返りもしなかった。

ルイズがカチンときて
「む、む、む、無視するんじゃ」
ないわよ。と続けようとした所に、ハジの静かな声が届いた。

「世界を見ているんです」

その声はどことなく悲しみを込めた声で、その口調にルイズの怒りも霧散した。
思わず、傍に歩いて行って、同じように窓の外を見る。

「何も面白いものはないわよ? 周りは森だらけだし。」

ルイズにとっては一年間見あきた光景であって、感慨にふけることも、景色に意識を向けることもなかった。
ただの夕焼けの景色。

「静かで、奇麗な景色です」

鳥や動物の鳴き声や葉擦れの音に混じるように、ハジは呟くように答えた。
その声は美しい物を見た時のように、そっとして置きたい物を見た時のように静かな響きがあった。
部屋と同じく紅に染まったハジの顔を、思わずまじまじと見上げた。ふと、自分が寄り添うように立っているのに気がついた。
手を伸ばせば届く位置。
ルイズはあわてて飛びずさった。

「そそそ、そんなことより、ここ、これからの話を、し、しなくちゃ! きゃっ」

慌てて離れたので、ベッドの縁に足が引っ掛かり、後ろに転びそうになって目を瞑ったが、転倒の衝撃はなかった。
恐る恐る目を開けると、ハジの顔があった。ハジが手を引っ張って支えてくれていた。

「あ、あ、あ、ありがとっ! つつ、使い魔だから当然よね!」

慌ててその手を振り払って呼吸を整えるために、そっぽを向いて大きく深呼吸をした。
家の姉がよく読んでいた恋愛詩モドキの状況に、動悸はなかなか落ち着かなかった。

ようやく鼓動を押さえたルイズは、床を見ながら極めて事務的な口調で話した。

「貴方は使い魔で私は主人。使い魔は主人の為に色々と尽くさないといけないわ。視覚の共有とか補佐とか。
でも、ハジはそんなことできないわね」
「ええ」
「あとはというか一番重要なのはコルベール先生の言ったとおり主人の護衛、わわ、私を守ることよ!」
「はい」
「でもハジはあまり強そうに見えないわ」
「そうですね」
「そうですねって、あのねぇ、使い魔は主人を守らないと……、まあ、いいわ、どうせ護衛することなんて無いでしょうし」

よし、普通に会話ができている。この流れのままだ。とルイズは心の中で自分を励ましていた。
なんとなく実家の執事達とのやり取りと彷彿させるようで、徐々に落ち着いてきていた。
ハジが必要以上に静かで、大人だったからかもしれないが。
部屋のランプに火を灯しながら、しばらく逡巡していたルイズだが、ハジに向き直り重大な決意を込めて固い声を発した。
微かに揺れる語尾がルイズの緊張を表していた。

「率直に聞くけど、ハジは貴族?」
「いえ」
「じゃあ、平民?」
「はい」
「魔法も使えない?」
「はい」

あっさりと否定したハジの回答で、貴族ではない、魔法は使えないということを知り、ルイズの緊張の糸が切れた。
へなへなとベッドに崩れるように座ったルイズは、そのままパタンと仰向けに倒れた。
いつも見ているベットの天蓋が見える。

「な~んだ、心配して損しちゃった。じゃあ、ハジって何ができるの?」
「強いて言えば音楽でしょうか」
「楽士ってこと?」
「ええ、そうですね」
「まるっきり平民じゃないの!」
「はい」
「はぁ、やっぱりねぇ、そんなに都合よくいかないか、仕方がないわね、じゃあ、あなたを返すまでは私の使い魔として、
私に従ってよね」
「えぇ」

一気に砕けた口調とその構図はどう見ても我儘な妹を、苦笑しながらも譲歩している兄のような光景だったのだが、
マスターとして必要以上に肩肘を張らないといけないと思っている、当事者のルイズには分からなかった。
幾許かの安堵感と同量の失望感を奇妙にブレンドしつつ、ゆっくりと身を起こした。

ベッドから一番離れる壁にもたれるように立っているハジを見て、なんとなく、強制的に召喚されて怒ってるのかな? と思ったが、
(でもどうしようもないじゃない。私も選べなかったんだし)
と自分の心を無理やり納得させた。

「ところで、その背負っている箱の中には何が入ってるの?」
「楽器です」
「見せて」

気分転換がてらにハジが背負っている箱に話題を向けると、しばらくして、ハジは担いでいた箱を置いて中から楽器を取り出した。
箱を置いた時に、ゴトンとかなり重たいものを置いた音がしたのだが、ルイズには分からなかった。
取り出された楽器は見事な造りの弦楽器だった。
似たような楽器はルイズも見たことがあるが、ここまで流麗で繊細な楽器ではなかった。

「へぇ、奇麗な楽器ねぇ。なんていう楽器なの?」
「チェロと言います」
「何か演奏してもらってもいいかしら?」
「いえ、今は」
「そう、まあ、今日はもう遅いしね、明日にでもお願いするわ」

ハジの軽い拒絶に一瞬ムッとして視線を逸らせた。気がつくと窓の外は藍色に染め上げられていた。
ランプの芯から、軽く響くちりちりと言う音が静かな部屋に響き渡る。

しばらく二人とも沈黙していた。
というより元々ハジの方から話しかけることなどなかった。ルイズがしゃべって、時折ハジが言葉少なく返事をする。
虫の鳴き声と、なにかの動物の鳴き声、それから、うわーとかひゃーとか言った叫び声だけが静かな部屋のBGMだった。

ルイズは、そろそろ食事に行かなければと思いつつ、肝心なことを言っていない自分に気が付いていた。
というより恥ずかしくて考えるのを避けていた。
相手が平民だとわかっても、自分の使い魔だと知っていても、さすがになかなか切り出せなかった。
意識しないようにすればするほど、どうしても意識してしまう。
始めから平民だ。と思っていればそうでもなかったのだろうが、いまさら過去に戻るわけにもいかない。
今まで、そういった経験がないのだから仕方がない。
男性と一緒の部屋で寝起きすることなど、貴族の令嬢たるルイズは経験したことがないのだから。
どうしよう、どうしようと頭の中で戸惑いだけが飛び交う。
必死でどう言ったらいいのか、自然に聞こえるのか必死でシミュレートした。
暫く視線が部屋中を彷徨っていたが、ルイズは意を決したように姿勢をただした。

「え、え、え、えと、あ、あ、ああのね、へ、平民と貴族が、い、い、一緒に生活するなんてことは、
普通あり得ないけど、は、ハジは私の使い魔だから私の近くにいなければならないの。
だから、これからはこの部屋があなたの部屋となるわ。
ベッドは運び込ませるから、少し待って」
「ベッドは必要ありません」
「え?」
「私は何処ででも寝れますから」
「わ、わ、分かったわ、じゃあ、そこのソファを使ってちょうだい! 私は食事に行ってくるからっ!」

言いたいことを早口で言ったルイズは、真っ赤になった顔を見られないように部屋を飛び出した。