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 衛宮邸を後にした。アーチャーと一緒に歩いてると、ふと思い出した。そう言えば、セイバーにつけられた傷。
「ねえアーチャー、貴方が普通にしてたからすっかり忘れてたけど、セイバーにつけられた傷はどうなったの?」
「治ってる」肩口をぽんぽんと叩きながら答えてきた。強がってるようには見えないから、本当に治ってるんだろう。
「で、今日は学校に行くの?」「いちおうね。学校では優等生で通っているから」
「そう」あまり、興味はなさそうだった。
「まあ、とりあえず。家に帰ってシャワーを浴びてからだわ。」体にたまった澱を洗い流したい。
ふわりふわりと雪が降ってくる。急に冷えてきた。
「つもるかな」独り言に「つもるといいね」何気なくアーチャーが返す。
雪の中を二人とも黙って歩いた。静寂が優しかった。


Chapter 7 Side-A 霜雪・凛


家に帰ってきた。1日。たった1日なのに、なんと密度の濃い一日だったことだろうか。
じっと立ったままシャワーを浴びて考えていた。
結界を消しに学校に行って、ランサーと戦い、士郎を救い、セイバーと戦い、バーサーカーと・・・
家の魔力回復機能がありがたい。エネルギーが体に浸透してくる充実感がある。
あとはキャスターとアサシンとライダー。
「ふう、やっかいだわ・・」自然と声が出た。

ドライヤーをかけて出てきた。もう8時半になっている。午前中は休むしかないと思いつつアーチャーに声をかける。
「アーチャー、シャワー浴びる?」
アーチャーがシャワーを浴びている間に簡単な食事の準備をする。正規のサーヴァントだったら食事なんて必要ないんだけど・・・
「・・・しかし、これってまんま新婚生活だわ」思わず口にして、顔が熱くなった。うわーっうわーっうわーっ。
いかんいかん。静まれ、鼓動。落ち着け、私。「あなたお食事は・・・」
いかんいかん、妄想よ去れ。「それとも・・・」
べたすぎる。べたべただ。

シャワーから出たアーチャーと食事をし、ようやく答えを得た。想像を絶する答えを。
目に見えない糸だそうだ。特殊加工を施した特殊金属の糸で攻撃している。・・・・そうだ。
「空を飛んだように見えたのは?」「先の目標物に巻きつけて引き寄せてる」こともなげに答えてくれる。
「ランサーに対しても?」「うん。でも彼もよくかわしたね。さすがにアイルランドの大英雄だね」って、え?なに?
「ちょっちょっちょっとアーチャー?ランサーの正体わかったの」目を丸くしてぽかーんとしてしまった。
「ゲイボルグって名前の槍を使う伝説はクーフーリンだけだと思うけど?」セイバーと戦ってるときに”聞いていた”らしい。
耳が良いのね。アーチャー。

「でも、バーサーカーは強い。僕の糸では通じなかった。内側からの攻撃は効いたけど。」何でもない様な口調で続ける。
「次に会ったときは逃げようか。」ははっと笑いながら、そう言った。

語る言葉が信じられなくて、だんだん頭が痛くなってきた。
こんなのは、理解の範疇を超える。魔術師の理解を超える神秘の領域のような気がする。
となると、それはある種の魔法になるのではないだろうか。異界の魔法・・・?
でも魔力使ってないし・・・・ええい、今はいい。アーチャーが戦えるってことで十分。解析するのはゆっくり落ち着いてからだ。
よーし、元気がわいてきたぞっ、バーサーカーも、なんか対策があるはず。そーよね。うん。

「あ、そうそう」「何?」「アーチャーの糸って射程はどのくらい?」何気なく聞いてみた。
「さぁ?気にしたことないけど。ヘリコプターくらいは落とせるよ。」
さぁ、学校に行こう学校に行こう。なんか聞いた様な気がするけど、気のせいよ、気のせい。学校だ、わーい。

準備をして、或るモノを持って学校へ向かった。
雪はもうやんでいた。

昨日と同じくアーチャーが一緒にいてくれた。彼曰く「散歩」だそうだ。
なんとなく、気分が良い。途中でお弁当を買って、昼休みになったら屋上ね。と言って学校近くでアーチャーと別れた。
どうせ”散歩”にいったんだろう。ありがとう、アーチャー。

4時間目になる頃についた。こそこそと教室に入ると目ざとく綾子に見つかった。
どうも自習のようだ、珍しい。この時間は実直教師、葛木先生だったはず。ま、いいか、ちょうどいい。
「よ、遠坂、重役出勤だね。さては昨日、大変だったねぇ?」じと目で見てくる。
「なんのことかしら?美綴さん」素知らぬ風で、答える。
なんてこと言うのよ、びっくりしたじゃないと思いつつ、心拍数を落ち着かせる・・

「いやいや、どう考えても、昨日の同伴イベントの後で今日の遅刻だろ?いやあ、熱い熱い」・・・ちょっとまて。
「なっなっ」言葉が出ない。「そうそう、だって、遠坂にそんな従兄弟がいるなんて聞いたことがないって、昨日柳洞も言ってたぞ」横から口をはさむ薪寺楓、うるさい黒豹。
「あら、柳洞君が私の親族にそれほど詳しいとは知りませんでしたわ。」オノレ、柳洞一成許すまじ。おしおきリストのトップに記しておこう。

「まあそれはともかく、昨夜、新都のほうで女性を狙った連続通り魔事件があったのでな、心配していたぞ。」氷室さんがそういう。
ちょっと聞き捨てならない。「何ですか、それは?」
「いや、今朝のニュースでやってたのだが、新都の方で10人ばかり若い女性が襲われたそうだ。死んではいないらしいが失血死寸前の重傷らしい。」
「で、遠坂さんが朝、来なかったから、みんな心配してたの。」泣き笑いの顔になっている三枝さん、子犬みたいでかわいい。
「失血状態ということで、ホラーチックに吸血鬼の仕業と仰々しくなっているな。くだらないが。」
しかし、氷室さんの言った通り魔は何かピンと来るものがある。魔術師としては心当たりがある。あまりいい物ではないが。吸血種。
この忙しい時に吸血種まで出てくるとなると厄介だ。
周りを安心させるように言った。「昨日は特に何もなかったですよ。新都の方にも行ってませんし。大丈夫です。」
「でもそんな通り魔が出てるんでしたら、皆さんも夜は外出を控えて気をつけてくださいね。」さりげなく釘をさしておこう。

・・・なんか、綾子のじと目が嫌だ。あれはまだ疑ってるに違いない。
「しかし、最近物騒だね、屋上のフェンスも壊れて落ちてたらしいし、理科準備室前はなんか薬品が撒かれてたらしいし。」ちらっとこっちを見る綾子。
「へぇ、そうなの。」しらんぷりしらんぷり。
屋上も閉鎖されたらしい。まあ、魔術師の私にとっては解錠なんて簡単なんだけどね。

なんとか4時間目は乗り切って昼休み。さて、屋上に向かう前に士郎が来ているかどうか確認してこよう。


Chapter 7 Side-B 霜雪・士郎


結論を先送りにしただけかもしれないが、考える時間ができたのはありがたい。
時計を見た。もうすぐ7時半になろうとしていた。

無駄に学校を休むわけにもいかない。しばらく考えて、

「セイバー、学校に行ってくる。」何かを考えているのか、あまり口をはさまなかったセイバーに声をかけた。
「シロウ、少々お話があります。」真剣な顔付きで言ってくる。「学校に行く前に、正確に現在の状況を把握してください。」
「教会に行く途中にも軽く言いましたが、私は完全な英霊ではありませんので霊体化ができません。」通常のサーヴァントは
マスターの魔力の制限や自由意思で霊体化ができる。しかし、セイバーはそれができない。
「ですから、実体を持っている状態となります。」なんかセイバーの顔が赤い、だんだん下を向いて行く「ですから、あの・・・・」
「その・・・」「どうしたセイバー、はっきり言ってもらわないとわからないぞ」どうしたんだろう、わからない。
「えと・・・」なんか両手の人差し指合わせてもじもじしてる・・・

くぅぅぅ・・・

「・・・うっ、ぷっ、ぷはははははっ」思わず、涙が出た。いままでの深刻な雰囲気が一気に明るくなる。
「シロウ、そこまで笑わなくても・・・」セイバーは半泣き状態で上目遣いにじと目をしてくる
「ああ、ごめんごめん、確かに何も食べてないからお腹すいてるよな。ちょっと待ってろ」たしか冷凍庫に冷凍したご飯とか
いろいろあったはず。
・・・セイバー、ありがとう。
「何か言いましたか?シロウ」「いや、特に何も言っていないぞ。」

おにぎりだの卵焼きだのソーセージだの3人分くらい作ったような気がする。
セイバーがはむはむ、こくこくと一口ごとに頷きながら食べてるのを見て、ハムスターみたいだなと思いながら遅い朝ご飯を食べた。
「シロウ、あなたの作る食事はすばらしい。これ程美味な食事を食べたことがない。」いや、そんな大げさな・・・
「私の国の食事はなにせ大雑把でしたから」遠い目をするセイバー、あまりにも不憫で、「俺が作る食事で良かったら、いつでも作ってやる。」
「シロウ、私は貴方の剣として・・」いや、そこで完全武装して騎士の礼をしなくてもいいから。

しかし、いつもであれば襲撃してくる藤ねぇが来ないなぁと思ってふと気がついた。ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ
セイバーは実体でいることになる。どこに?ここに。となると藤ねぇや桜と鉢合わせする・・・
ううううううう
セイバーが不思議そうに見つめてくる。
やっぱ、それしかないか。
「セイバー、ここにはトラが来る。その時にセイバーはオヤジを頼ってきた知り合いということにしたい。それでいいか?」
「トラ・・・ですか?」
「ああ、俺の義理の姉、で藤村大河って名前だ。で、そのときにどのみちセイバーを紹介することになる。そのときの自分の名前を考えてほしい。」
「確かに、真名を告げるわけにもいかないですね、・・・ではセイバー・エクトールではいかがでしょう。エクトールは私の縁の名です。」すこし寂しそうに答える。
「・・そか、じゃあ、それで行こう。」ふぅ。あとはこれで押し切るだけだな。

「ところで、シロウ、学校という学び舎に他のマスターがいる可能性はありませんか?」打って変わって真剣な顔で聞いて来る。
学校にマスター・・・遠坂がそうだ。俺は全然わからなかった。他にもいる可能性は・・・0ではない・・・だけど・・・
「確かにセイバーの言うとおり可能性はある。でもあそこには遠坂がいる。で、遠坂がマスターはいないって言っている以上、多分大丈夫だろう。」
「ふむ、確かにリンがいれば大丈夫でしょう。」・・なんか遠坂のこと信頼してるな、セイバー。
「しかし、やはり危険です。休むことはできませんか?」真っ直ぐな視線を向けてくる。
「可能性があるっていうだけで休むことはできないよ。昼間に仕掛けてくるとも思えないし。」
「わかりました、シロウ。では何かあればリンに相談すること。まだ敵対はしていないから助けてくれるでしょう。あとサーヴァントがいれば迷わず令呪で呼んでください。いいですね。」
「分かったよ。」

セイバーの昼飯の準備だけしてから、学校に向った。もうすぐ昼になるな。
学校の敷地に入った時、違和感を感じた。なんとなく空気が重い。ピリピリする。
なんだろう?と思いつつ教室に向った。ちょうど4時間目終了のチャイムが鳴った。教室の前でばったり遠坂と出会った。
遠坂が人に見えないように手で上を指さす。屋上かな?
軽く目で合図したら、教室に戻っていった。

自分の教室に行って鞄をおいていたら、慎二が「はっ、サボりか?衛宮。良い御身分だな。ケッ」と言いながら出て行った。
なんか今日は特にイライラしているようだ。どうしたんだろう。

まあ、いい、さっさと屋上に向かわないと、何されるかわからん。


Chapter 7 Side-A 霜雪・凛


たまたま士郎が来ているかどうか見に行こうとしたら、ばったり廊下で出会った。とりあえず、指サインで屋上を示したが、わかったかな?とりあえず例のブツを持って屋上に向う。
屋上への扉はかぎが掛かっていたけど、解錠の呪文で簡単に開いた。
滑り込んだら、そこにはアーチャーが居た。
「ごくろうさま、飛んできたの」軽くふざけて言ったら「うん」だって。もう、このヒト何でもありね。
雪で濡れていない所を探していたら、士郎が来た。

「こっちこっち。」手を振った。「うぇ、アーチャーもいたの?」と士郎「はは」とアーチャー
「士郎、これ、プレゼント。どうせ気がついてないだろうから。」と紙包みを手渡す。
「ええええぇぇぇぇっ、遠坂が俺にプレゼント?」
「ばか、へっぽこ、言葉通りに取るんじゃないわよ。中見てみなさい。」バカ士郎なんで赤くなるのよ。
「あ、これは、確かに忘れてた、ありがとう。遠坂。」手渡したのはセイバーの私服。まあ、碌でもない兄弟子が毎年贈ってくる服だ。
ちょっと趣味じゃないのでちょうどいい処分だわ。

「で、どうするか決めた?」食事をしながら話を振って見た。
「期限は明日だろ?遠坂。」ちょっとムッとした表情。「そうね、明日だったわね。」

「あ、そうだ、もうわかってると思うけど、この学校は結界に覆われてるからね。気をつけてね。」「結界って?」「それ」と呪刻を指さした。


Chapter 7 Side-B 霜雪・士郎


しかし、いつ見ても遠坂とアーチャーのセットは絵になるなぁ、と。埒もないことを考えながら教室に帰ってきた。
ふと気がついた、あれ?一成は休みか?珍しい。
たまたま通りがかった、後藤君に聞いてみた。
「一成は今日は休みだった、俺たちは・・・そう聞いていた。」なにかのナレーションのようだ。教育番組でも見たのかな?
「さんきゅ」どうしたんだろ。

屋上にあった結界。学校に7つあるそうだ。機能は結界内の生物を融解して霊的エネルギーにすること。だそうだ。
遠坂にも解呪できない強力な結界。そんなものは許せない。早く解かないと・・・。


放課後、帰ろうとすると、慎二に呼び止められた。「衛宮、ちょっと話がある。裏の林に来いよ?」といって出ていった。
ついて来いということだろう。帰る準備をして、鞄を持ってついて行った。

「慎二、どこまで行くんだ?」校舎の裏の林に入った。
「ここらでいいだろう。」振り返って言った。「衛宮、俺と組め。」いつもの慎二だったが言っている意味がわからなかった。
「組む?何を?」本気でわからなかった。
「何、すっとぼけてんだよ。左手のソレ、令呪だろ」こともなげに言う。
「な、な、な、なんで慎二がそれを知ってるんだ!?」
「けっ、衛宮は知らないのか?俺は間桐の長男だぜ?知ってるに決まってるだろ。」

「どうして間桐の長男だったら知ってるんだ?」ちょっとパニック状態で思考回路がうまく動かない。
「何にも知らないんだな、令呪のシステムを作ったのはマキリ、要は俺の家系だぜ?」
「ちょっと待て、ということはお前は魔術師か!?」「今頃わかったのかっ!」
重大なことに気がついた「さ、さ、桜は?桜も魔術師なのか?」焦った。
「バカじゃねーの?なんで、桜なんかに魔術を教えるんだよ?魔術師は一子相伝だぜ?そんなことも知らねーのか」馬鹿にしたような慎二

でも俺には気にならなかった、そうか、桜はこんなどろどろした世界とは無縁なのか。よかった。
「で、本題だ、俺と組め、衛宮」「・・・・ということは慎二、お前もマスターなのか?」
「当然だろ?間桐、遠坂、アインツベルンはマスターになるに決まってる。まあ、お前が例外みたいなもんだ。」
「そうか、俺が例外なのか。だけど、俺がよくマスターだって「衛宮!さっき言っただろ、令呪見りゃわかるって、お前はバカか」」
むっ。そこまで馬鹿にしないでもいいじゃないか。
「で、組むのか、組まないのか?」イラついてきたようだ。でも俺はあと一点だけは確認しておかないといけない。
「一つ聞かせてくれ、この学校の結界はお前が張ったのか?」「おれじゃねーよ。多分キャスターだろ。柳洞寺にいる。」爆弾発言を聞いた。
柳洞寺にいる?それはどう言うことだ?
「慎二!キャスターは柳洞寺にいるのか?お前なんで、そんなことを知ってるんだ!?」慎二の襟首をつかみながら叫んだ。
「っち、うるさいなぁ。だから落ちつけよ」手を振り払いながら答える慎二。
「俺の家の情報網をなめるんじゃねぇーよ。柳洞寺にはキャスターがいる。これは確実だ。マスターが誰かは判らないけどよ。少なくとも、今日は柳洞は休みだぜ?どーゆーことだろーね。衛宮。」
頭をハンマーで殴られた気がする。まさか。いや、しかし。状況的には・・・。でも確認しないと・・・。遠坂と一成の殺し合いなんて・・・
「で、いいかげんにしろ、衛宮、どうするんだよ?俺と組むのか組まないのか?」迫ってくる慎二。
・・今は判断できない。「ちょっと考えさせてくれ。」
「ふんっ、まあいい、明日までだ。本来だったらここでお前は殺すか令呪を奪ってるところだが、今日は許してやる。」
「・・慎二、お前、何言ってるのか、わかってるのか?」呆然とつぶやく。
「わかってないのはお前の方だ、衛宮。今は聖杯戦争の真っただ中だ。なれ合ってる状況じゃねぇーよ」そう言って慎二は去っていった。

俺はよろよろと家路についた。
慎二、魔術師だった慎二。きわめて冷酷な判断をする・・・桜が無関係だったことだけが救いか・・・
でも柳洞寺の件は明日までに確認しなければ・・・。


家に帰ってきた。
「お帰りなさい、シロウ」セイバーが迎えてくれた。「シ、シロウ、どうしました。顔が真っ青ですよ?」セイバーがあわてている。
「いや、夜になったら話す。今はちょっと考えを整理したい。あと、セイバーに遠坂からプレゼントだ。」そう言って服を渡す。
「これは?」「いつも、その、鎧下では外にも行けないだろ?そーゆーとこ、遠坂はよく気がつくよな。」
「感謝します。」

まあ、とりあえず、晩飯の準備だ。そろそろ来訪者もやってくるだろう。

食事の準備をしてしばらくして

がらがらがらと玄関の引き戸が開く音が響き、声が聞こえる。
「やっほー、士郎~元気してた~?」これは藤ねぇだ。「お邪魔します、先輩」こっちは桜。

だんだんだんと廊下を歩く音が聞こえ、居間の障子が開く。さあ、本番だ。
「しろ~お腹すいた~、今日の晩御飯はなー・・・」藤ねぇが固まる。
「いい匂いですね~・・・」桜が固まる。
二人の視線の先には金色の少女がいる。
「しろ~が女の子つれこんでる~!!おねえちゃんゆるしませんよ~、がを~」
「せんぱい~この女の子はだれですかぁ~」

耳がキーンとした。
「二人とも落ち着いてくれ。この子はセイバー、セイバー・・・なんだっけ?」
「はじめまして、セイバー・エクトールです。どうぞ、セイバーと呼んでください。」すらすらと答えるセイバー。
「そうそう、オヤジの知り合いらしくて、オヤジを頼って日本まで来たらしいんだ、で、一ヶ月ほど下宿することになった。」
「そ、そんなこと急に言ってもお姉ちゃんゆるしませんよっっっ!!」
「貴方がタイガですね。キリツグからお話は聞いています。かわいい子だと。」あれ?オヤジの名前って言ったっけ?
「え?かわいいって?切嗣さんが・・・」あ、夢見る乙女になった。陥落だな、これは。
しかし、セイバー、やるな。

「セイバー」呆然と桜がつぶやく。

「まあ、そう言うことで今日から下宿生だ。よろしく頼む。」片手を上げて拝む真似をする。
「よろしくお願いします。タイガ、サクラ。」そう言って頭を下げる。

「まあ、士郎がそう言うなら、仕方無いわねぇ。でも部屋は別よ?」「と、と、当然だろ」あわてる。
「私は別に同じ部屋でもかまいませんが?」こら、そこの食いしん坊娘。爆弾発言をしない。
「先輩・・」そこ、お願いだから涙ぐまないで・・・

「ちょっとトイレに行ってきます。」そう言って桜は席をたった。

じゃあ、そろそろ食事の準備をしますか。

・・・桜、遅いな。ちょっと見てこよう。トイレの電気は消えていた。あれ?どこだろ?ん?洗面所に電気がついている。ここか。
「桜、晩飯の準備できたぞ。早くおいで。」そう言って洗面所のドアを開けた。
そこに呆然と血のついたシャツを握りしめている桜が居た。